結婚・子育て資金の一括贈与は2027年3月末で終わる可能性。使い切れない残額と秋に確認する順番

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2026年8月末、こども家庭庁は令和9(2027)年度の税制改正要望で、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置を廃止する方向を示しました。金融庁の要望資料にも、こども家庭庁主担の項目として並んでいます。いま決まっているのは要望です。改正でも施行でもありません。現行の適用期限は令和9年3月31日です。延長せず終わるのか、年末の与党税制改正大綱で向きがはっきりします。おすすめ順位は付けません。使う予定がある家計だけ、数字と出口を先に並べてください。2026年9月時点の整理です。

制度の期限だけでなく、結婚から子育てまでの間に実際どこでお金が出ていくのか、そのうち特例で非課税になるのはどれか、ならないものはどう備えるのかまで順に並べます。死亡保険金の相続税枠の話は死亡保険金の相続税非課税枠、子育て世帯の保険料控除は生命保険料控除が6万円になる人の整理にまとめています。

目次

なぜ2026年の秋に期限を確認するのか

この制度は、父母・祖父母など直系尊属が、18歳以上50歳未満の子・孫の名義口座に結婚・子育て資金を一括で預け、受贈者1人あたり最大1,000万円まで贈与税を非課税にする仕組みです(結婚関係の費用は300万円までの内枠)。こども家庭庁と国税庁の説明が正です。

適用期限はすでに令和9年3月31日までと決まっています。今回の要望は「その期限で延長せず廃止し、同日までに拠出された分は引き続き非課税扱いを続ける」という方向です。要望が通っても通らなくても、新規に動くかどうかの判断期限は同じ日付に寄っています。秋のうちに「使う/使わない/別の渡し方にする」を一度決めておく季節です。

制度の骨格(数字は公式の枠だけ)

  • 贈る人 … 直系尊属(父母・祖父母など)
  • もらう人 … 契約締結日に18歳以上50歳未満。贈与を受けた年の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は使えません
  • 非課税の上限 … 受贈者1人あたり1,000万円。うち結婚関係は300万円まで
  • 使い道 … 結婚・妊娠・出産・育児に関する費目に限定。費目リスト外は非課税対象外
  • 手続き … 取扱金融機関で専用の口座・信託契約(結婚・子育て資金管理契約)を結び、非課税申告書を金融機関経由で提出。使うたびに領収書等を出します
  • 口座の終わり … 受贈者が50歳になった日など。使い残しがあれば贈与税の対象
  • 適用期限(現行) … 令和9年3月31日まで(延長要望ではなく廃止要望が出ている段階)

詳細と費目は、こども家庭庁の制度ページと、国税庁タックスアンサー No.4511を正にしてください。金融庁の一覧は令和9年度税制改正要望PDFです。

結婚・子育てで考慮しておくべきお金の使い道

「結婚・子育て資金」と聞くと、結婚式から子どもの学費までまとめて面倒を見てくれる制度に見えます。実際には、非課税になる費目はこども家庭庁(旧内閣府)の費目リストで細かく決まっていて、対象は大きく「結婚に際しての費用」と「妊娠・出産・育児の費用」の2つだけです。しかも育児の費用は小学校就学前の子に限られます。

家計の側から見ると、結婚から子育てまでのお金は次の順に出ていきます。

  1. 結婚(挙式・披露宴、指輪、新婚旅行)
  2. 新居(賃貸の初期費用と家賃、引越し、家具・家電、または住宅購入)
  3. 妊娠(不妊治療、妊婦健診)
  4. 出産(分べん・入院、産後ケア)
  5. 未就学期(子の医療費、保育料・幼稚園・ベビーシッター)
  6. 就学後(小学校から大学までの教育費)

このうち特例で非課税になるのは一部です。どこまでが対象か、使い道ごとに整理します。

使い道ごとの「特例の対象か」一覧

こども家庭庁の「費目リスト」とQ&Aをもとにまとめています。最終判断は取扱金融機関の確認によります。

使い道 特例の対象か 注意点
挙式・披露宴(会場費、衣装代、飲食代、引出物、写真・映像、招待状など) 対象(結婚関係300万円の内枠) 婚姻の日の1年前の日以後に支払ったものに限る。二次会や海外挙式も対象になり得るが、新婚旅行と一体の費用は切り分けが必要
婚約指輪・結婚指輪 対象外 費目リストで明示的に対象外
結納・両家顔合わせ、婚活サービス、エステ、新婚旅行、式に出席する人の交通費・宿泊費 対象外 「挙式や披露宴を開催するための費用」ではないため
新居の家賃・敷金・礼金・共益費・仲介手数料・契約更新料 条件付きで対象(300万円の内枠) 婚姻の日の前後各1年以内に受贈者名義で結んだ賃貸借契約に限る。対象は契約締結日から3年以内の支払い。配偶者名義の契約は対象外
家具・家電の購入、光熱費、地代、駐車場のみの賃料 対象外 新生活の出費でも、費目リストでは対象外と明記
住宅の購入 対象外 費目にあるのは賃貸だけ。購入は住宅取得等資金の贈与特例(別制度)の領域
引越し費用 条件付きで対象(300万円の内枠) 婚姻の日の1年前から1年後までの転居に限る。配偶者の転居費用、不用品の処分費用は対象外
不妊治療(人工授精・体外受精・顕微授精、処方薬) 対象 保険適用・公的助成の有無を問わず、実際に支払った額が対象。市販薬、遠方への通院の交通費・宿泊費は対象外
妊婦健診、妊娠に起因する疾患の治療 対象 処方箋に基づく医薬品に限る。美容目的の治療などは対象外
出産(分べん費、入院費、新生児管理保育料、産科医療補償制度掛金、入院中の食事代など) 対象 出産日以後1年を経過する日までの支払い。出産育児一時金などの公的給付の有無にかかわらず、病院等へ実際に支払った額が対象
産婦健診、出産に起因する疾患の治療 対象 出産日以後1年以内の支払い
産後ケア(デイケア型・宿泊型) 条件付きで対象 出産後1年以内。6泊分または7回分が上限
子の医療費(治療費、予防接種、乳幼児健診、処方薬) 条件付きで対象 小学校就学前の子に限る。任意接種の予防接種も含む
保育料・入園料・施設設備費、行事費、給食など 条件付きで対象 小学校就学前の子に限る。幼稚園・保育所・認定こども園など、法令に基づく施設・事業への支払いが対象。行事費の保護者分や海外の施設は対象外
ベビーシッター 条件付きで対象 都道府県等に認可外保育施設の届出をしたベビーシッター業者が行う事業など、支払先の要件あり
小学校以降の学費・塾・習い事 対象外 この特例の育児費は就学前まで。教育費は別に考える

費目の原典はこども家庭庁の制度ページに掲載されている「別表1:費目リスト」「Q&A」「別表2-2:子の育児に係る費用の支払先一覧」です。

結婚:挙式・披露宴は対象、指輪と新婚旅行は対象外

結婚関係で非課税になるのは、挙式・披露宴を開くための費用です。会場費や衣装代、飲食代、引出物、写真・映像、演出、招待状などのペーパーアイテム、人件費まで幅広く入ります。挙式と披露宴を別の日に分けた場合や、披露を目的とした二次会も対象になり得ます。

一方で、婚約指輪・結婚指輪、結納や両家の顔合わせ、婚活サービス、エステ、新婚旅行は対象外です。ゲストの交通費・宿泊費を新郎新婦側で負担しても対象になりません。結婚にまつわる出費のうち、指輪と新婚旅行は金額が大きくなりやすいので、「親の援助を一括贈与の口座で受ければ全部非課税」とは考えないほうが安全です。

もう一つの注意点は時期です。挙式・披露宴の費用は婚姻の日の1年前の日以後の支払いに限られます。早めに式場を押さえて内金を払う場合は、入籍予定日との関係を確認してください。

新居:賃貸と引越しは条件付き、家具・家電と購入は対象外

結婚を機に新しく部屋を借りる場合の家賃、敷金、礼金(保証金などを含む)、共益費、仲介手数料、契約更新料は対象です。ただし条件がいくつも重なります。

  • 賃貸借契約の締結日が婚姻の日の前後各1年の期間内であること
  • 契約が受贈者本人の名義であること(配偶者名義や勤務先名義は原則対象外。社宅は受贈者との使用契約を示す書類があれば対象になる扱い)
  • 対象になる家賃は契約締結日から3年を経過する日までの支払い

引越し費用も、婚姻の日の1年前から1年後までの転居なら対象です。一方、家具・家電の購入費、光熱費、駐車場だけを別に借りた場合の賃料は対象外です。住宅を購入する費用も、この特例の費目には入っていません。

挙式・新居・引越しはすべて結婚関係300万円の枠を共有します。挙式に200万円使えば、新居と引越しに使える非課税枠は残り100万円です。家賃3年分を枠内でまかなうつもりなら、式の予算と一緒に配分を決めておくと、後から枠が足りないという事態を避けられます。

妊娠・不妊治療:保険適用かどうかを問わず対象

人工授精、体外受精、顕微授精などの不妊治療は、男女を問わず、保険適用の有無や公的助成の有無にも関係なく、実際に病院に支払った金額が対象です。妊婦健診や、妊娠に起因する疾患の治療も対象に入ります。

対象外になりやすいのは、処方箋に基づかない市販薬と、遠方や海外の医療機関へ通うための交通費・宿泊費です。不妊治療は期間も費用も読みにくい分野なので、口座に預けた額を無理に使い切ろうとせず、実費が出たときに払い出す使い方が基本になります。

出産・産後ケア:出産日から1年以内の支払いが目安

出産関係では、分べん費、入院費、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料、産科医療補償制度の掛金、入院中の食事代など、入院から退院までの費用が広く対象です。正常分べんか、流産・死産かは問いません。産婦健診や出産に起因する疾患の治療も含め、出産日以後1年を経過する日までに支払ったものが対象になります。

産後ケア(日帰りや訪問で心身のケアや育児サポートを受けるデイケア型、施設に泊まる宿泊型)も対象ですが、出産後1年以内、6泊分または7回分までという上限があります。

出産費用には公的医療保険から出産育児一時金(原則50万円)が出ます。直接支払制度を使うと窓口での支払いは差額だけになるので、特例の口座から払い出す金額も、実際に病院へ支払った額が基準になります。

子の医療費:小学校就学前まで

受贈者の子の治療費、予防接種代(任意・法定とも)、乳幼児健診、処方薬は対象です。対象になる子は小学校就学前に限られます。

子どもの医療費は、多くの自治体が独自の助成で窓口負担を軽くしています。助成の内容は自治体ごとに違いますが、窓口負担が小さい地域では、この費目で口座から払い出す金額はそれほど大きくなりません。任意接種の予防接種など、助成の外に出やすい費用で使うことが多くなります。

保育料・幼稚園・ベビーシッター:支払先の種類で決まる

就学前の子の入園料、保育料、施設設備費、入園試験の検定料、行事への参加費(保護者分は除く)、食事の提供にかかる費用などが対象です。支払先は、幼稚園・保育所・認定こども園のほか、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業など、法令に基づく施設・事業に限られます。認可外保育施設は、指導監督基準を満たす旨の証明書の交付を受けた施設が対象です。ベビーシッターは、都道府県等に認可外保育施設の届出をした業者が行う事業が対象になります。

ここで押さえておきたいのが、幼児教育・保育の無償化との重なりです。3歳から5歳児クラスの幼稚園・保育所・認定こども園の利用料は無償化されているため、その年齢では「保育料」として口座から払い出す額が小さくなります。実際に残りやすいのは、0〜2歳の保育料、入園料や行事費、給食など、無償化の外に残る費用です。祖父母の援助で1,000万円を一括で預けても、子育て費用で使い切れる額は家庭によってかなり差が出ます。

払い出しの手続きと、つまずきやすい点

  • 拠出前の支払いは対象外 … 領収書の支払年月日が、専用口座へ拠出した日以降であることが前提です
  • 領収書の提出期限 … 支払った後で払い出す方法なら、領収書の支払年月日から1年以内に金融機関へ提出。先に払い出す方法なら、支払日の翌年3月15日までに提出
  • クレジットカード払い … 支払年月日はカードの利用日です。分割払いやリボ払いだと書類が期限までにそろわないことがあるため、Q&Aでも一括払いが勧められています
  • 教育資金の一括贈与との二重払い出しは不可 … 両方の口座を持っていても、同じ1回の支払いを両方から払い出すことはできません
  • 費目外に使った場合 … 払い出したお金を結婚・子育て資金に充てなかった場合は課税されます

特例の外側で準備しておきたいお金

ここまでの表を見ると分かるとおり、結婚・子育て資金の一括贈与がカバーするのは「結婚から未就学期まで」の一部の費用です。家計として大きいのは、むしろ特例の外側にある教育費、住まい、万一への備えです。一括贈与を使うかどうかにかかわらず、次の項目は別に数えておく必要があります。

教育費:無償化の範囲と、その先の学費

就学前は、幼児教育・保育の無償化により、3歳から5歳児クラスの幼稚園・保育所・認定こども園などの利用料が無料です。0歳から2歳児クラスは住民税非課税世帯が対象です。認可外保育施設などは、保育の必要性の認定を受けたうえで、3歳から5歳は月額3.7万円まで、0歳から2歳の住民税非課税世帯は月額4.2万円までが無償になります。

高校は、高等学校等就学支援金が令和8年度から新制度になり、所得制限なしで授業料が支援されるようになりました。支給上限年額の例は、公立高校(全日制等)11万8,800円、私立高校(全日制等)45万7,200円です。申請が必要で、授業料以外の教材費や修学旅行費などは別にかかります。

小学校・中学校の給食費や教材費、塾や習い事、そして大学・専門学校の学費は、一括贈与の特例でも無償化でもカバーされません。教育費は時期が読みやすい支出なので、子どもの年齢から逆算して積み立てる考え方が基本になります。

なお、祖父母が孫の教育費をまとめて渡す教育資金の一括贈与(国税庁 No.4510)は結婚・子育てとは別の制度で、令和8年3月31日で延長されずに終了しました。それまでに適用を受けた分は引き続き特例が適用されますが、いまから新しく使うことはできません。

住まい:住宅購入は別の特例

結婚・子育て資金の一括贈与で扱えるのは賃貸の費用までです。親や祖父母から援助を受けてマイホームを購入する場合は、住宅取得等資金の贈与の非課税(国税庁 No.4508)という別の特例の話になります。現行は令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与が対象で、非課税限度額は省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円です。受贈者の所得要件や、翌年3月15日までに新築等をして居住することなどの要件があり、贈与税の申告も必要です。この特例も期限が近いので、住宅購入の予定がある家庭は年末の大綱で扱いを確認してください。

暦年贈与110万円と「必要な都度」の生活費・教育費

一括贈与の口座を使わなくても、親や祖父母からの援助には次のような受け取り方があります。

  • 暦年課税の基礎控除 … 1年間(1月1日から12月31日)にもらった財産の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です(国税庁 No.4402)。使い道の制限はありません
  • 扶養義務者からの生活費・教育費 … 夫婦や親子などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるために受け取った財産で通常必要と認められるものは贈与税がかかりません。生活費には治療費や養育費、その他子育てに関する費用も含まれます(国税庁 No.4405)

ただし後者は、必要な都度、直接それらに充てるためのものに限られます。生活費や教育費の名目でもらっても、預金に回したり株式などの購入資金にしたりすると贈与税がかかります。「まとめてもらって貯めておく」使い方はできない、という点が一括贈与との一番の違いです。

逆にいえば、出産費用や保育料、子の医療費のように支払いの時期と金額がはっきりしている費用は、その都度援助してもらう形でも対応できることが多くなります。一括贈与の口座は、この「都度払い」では対応しにくい、ある程度まとまった金額を早めに移したい場合に意味がある制度です。

公的な支援:自分で申請するものを先に数える

親からの援助を考える前に、公的な給付でまかなえる部分を数えておくと、援助が必要な金額がはっきりします。主なものは次のとおりです(2026年9月時点)。

  • 出産育児一時金 … 公的医療保険の加入者が出産したとき、子1人につき原則50万円(厚生労働省)。申請期限は出産日の翌日から2年以内です
  • 妊婦のための支援給付 … 妊娠期からの面談による相談支援とあわせて、市区町村が経済的支援を行う制度です(こども家庭庁)。手続きはお住まいの市区町村で確認してください
  • 児童手当 … 0歳から高校生年代までの子を養育している人に支給。月額は3歳未満が1万5,000円、3歳以上高校生年代までが1万円、第3子以降は3万円です(こども家庭庁)。出生や転入のあとは市区町村への申請が必要で、申請が遅れると遅れた月の分は原則受け取れません
  • 育児休業等給付 … 雇用保険の育児休業給付金は、休業開始から180日までは休業開始時賃金の67%、その後は50%が目安です。一定の要件を満たすと出生後休業支援給付金(最大28日間、13%)が上乗せされ、合わせて80%、手取りで10割相当になります。賃金日額には上限があります(厚生労働省)
  • 高等学校等就学支援金 … 令和8年度から所得制限なしで授業料を支援(前述)

公的給付は申請しないと受け取れないものが多く、出産・育休の時期は手続きが集中します。一括贈与の口座を持つ場合は、口座の払い出し手続きと公的給付の申請が同じ時期に重なることも頭に入れておいてください。

保険:死亡保障・医療・学資を見直すタイミング

結婚・出産は、保険の必要額が大きく変わる時期です。お金の使い道を並べるついでに、次の3点も一緒に確認しておくと効率的です。

  • 死亡保障 … 子どもが生まれると、万一のときに残された家族が必要とする生活費・教育費が増えます。一方、住宅ローンを組んで団体信用生命保険に入ると、住居費の分だけ必要な保障額は下がります(団信と死亡保障の整理)
  • 医療保障 … 妊娠・出産の前後は、新しく医療保険に入りにくくなる場合があります。公的医療保険の高額療養費制度で自己負担がどこまで抑えられるかを確認したうえで、民間の医療保険の必要性を考えます(高額療養費と医療保険の見直し)
  • 学資保険などの教育資金準備 … 教育費は時期が読める支出です。保険で準備するか、預貯金や積立で準備するかは家計ごとに違います。一括贈与の口座では小学校以降の学費はまかなえないため、教育資金は別枠で考える必要があります

保険料を払う側の税金の話(子育て世帯の生命保険料控除)は、生命保険料控除が6万円になる人の整理にまとめています。

「1,000万円まで非課税」の出口を見落とさない

名前だけ見ると満額を預けても税金ゼロに読めますが、実務の核は使い切って初めて非課税に近づくことです。契約終了時や贈与者死亡時に残った管理残額は、贈与税や相続税の話に入ります。

  1. 受贈者が50歳になったとき … 残額は贈与税の対象になり得る。令和5年4月1日以後に拠出した分に対応する額には、特例税率ではなく一般税率が適用されます
  2. 贈与者(祖父母など)が亡くなったとき … 残額は相続税の課税関係に入り得る。孫が受贈者の場合、令和3年4月以後の拠出分に対応する相続税額は2割加算の対象です
  3. 費目外の支出 … 非課税の対象外

だから「節税のために満額を突っ込む」と、使い切れない分だけ後で面倒になりやすいです。前の章の表のとおり、結婚関係は300万円の内枠、育児費は就学前まで、3歳から5歳の保育料は無償化で小さくなる、と使える場面は意外に限られます。預ける額は「今後数年で実際に払う予定の費目の合計」から逆算するのが現実的です。

教育資金の一括贈与(令和8年3月31日で新規適用が終了)と同系統の時限措置で、利用件数が伸び悩んだ背景にも、この出口の硬さがあります(こども家庭庁側の廃止理由でも利用低迷が挙げられています)。

すでに契約している人・これから検討する人

すでに口座に預けている人は、廃止要望=口座が即無効、ではありません。要望の内容も「期限までに拠出された分は引き続き適用」です。教育資金の一括贈与でも、令和8年3月31日までに適用を受けた分は引き続き特例が適用される形で終わりました。いまやれるのは残額と使う予定の棚卸しです。先ほどの表で、これから数年のうちに出てくる費目(家賃の残り期間、出産、保育料など)を書き出すだけで、50歳や相続の出口が見えます。

これから使う予定だった人は、まず年末の税制改正大綱の方向を見てからでも遅くないケースが多いです。急いで駆け込む前に、次の別ルートも並べてください(2026年9月時点)。

  • 暦年贈与の基礎控除(受贈者1人あたり年110万円)… 使い道の制限なし
  • 扶養義務者からの生活費・教育費 … 必要なときに必要な額を直接充てる分は、贈与税がかからない
  • 住宅購入の援助 … 住宅取得等資金の贈与の非課税(令和8年12月31日までの贈与が対象)
  • 教育資金の一括贈与 … 令和8年3月31日で新規の適用は終了。いまからの選択肢にはなりません

「結婚式の費用を親が払う」「孫の保育料を祖父母が払う」といった都度の支出は、一括口座を通さなくても扶養の範囲で扱えることが多いです。本当に1,000万円をまとめて動かす必要があるか、から考えてください。

一方で、結婚や出産が令和9年3月31日より後になりそうな場合、廃止が決まれば期限後に新しく拠出することはできません。期限までに拠出した分は、期限後の支払いにも使える方向の要望です。ただし使い切れなければ出口で課税される点は変わらないので、「予定が見えている費目の分だけ」を目安にしてください。

秋に机に出す順番(おすすめ商品は言わない)

  1. 使う予定の有無 … 直近1〜2年で結婚・出産・保育などの実費が見えているか。使い道一覧の「対象」「条件付き」に当てはまる費目だけを書き出す
  2. 残額シミュレーション … 満額ではなく、使い切れる額だけを候補にする。結婚関係は300万円の内枠、育児費は就学前までという上限も入れる
  3. 公的給付の差し引き … 出産育児一時金、児童手当、育休給付、無償化でまかなえる部分を引く
  4. 別ルートとの比較 … 暦年贈与・都度の生活費/教育費・住宅取得等資金の特例で足りないか
  5. 特例の外側の準備 … 小学校以降の教育費と、死亡・医療保障の見直しを別枠で確認する
  6. 12月の大綱 … 廃止・延長・条件変更のどれかを確認してから新規契約を決める
  7. 既存契約者 … 領収書の提出期限と費目リストを金融機関案内で再確認

税務の個別判断は税理士・税務署が正です。ここでは制度の地図だけ置きます。

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参考にした公的資料

まとめ

結婚・子育て資金の一括贈与は、要望段階で「令和9年3月31日をもって廃止」の方向が出ています。決まった話ではありません。枠は最大1,000万円(結婚関係は300万円まで)ですが、使い切れない残額は課税の話に入ります。

非課税になる使い道は、挙式・披露宴、結婚を機にした賃貸と引越し、不妊治療・妊娠・出産・産後ケア、就学前の子の医療費と保育料などに限られます。指輪、新婚旅行、家具・家電、住宅購入、小学校以降の学費は対象外です。特例の外側にある教育費、住まい、保障の見直しは別枠で準備し、公的給付でまかなえる分も先に差し引いておきましょう。

すでに契約している人は残額の棚卸し。これから検討する人は、暦年贈与や都度の生活費・教育費と並べてから、12月の大綱を見てください。商品のおすすめは言いません。期限と出口だけ先に押さえてください。

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