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「死亡保険金の非課税枠が上がるらしい」という話と、いま実際に使える制度は別物です。いま使えるのは国税庁が示す現行ルールで、引上げは金融庁や生命保険協会などの税制改正要望の段階です。与党の税制改正大綱などで決まらない限り、「必ず上がる」とは言えません。
いまのルール(現行)
被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、相続税の課税対象になる「みなし相続財産」として整理されます。受取人が相続人である場合、相続人全員が受け取った保険金の合計について、次の非課税限度額までが非課税です。
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
根拠の入口は国税庁タックスアンサー「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」です。細目・例外は契約形態や法令改正で変わるので、最終確認は国税庁と契約の約款・税理士等に委ねてください。
- 法定相続人の数は、相続放棄があっても「放棄がなかったもの」として数える、という整理があります。
- 養子を数に含める場合の上限(実子あり1人・なし2人まで)もあります。
- 相続人以外が受け取った死亡保険金には、この非課税の適用はない、と国税庁は明示しています。
要望で言われていること(未決定)
金融庁の令和9年度税制改正要望には、「死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ」が項目として並んでいます(財務省が掲載する金融庁要望一覧)。生命保険協会の令和9年度税制改正に関する要望では、現行の「法定相続人数×500万円」に、「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算する、という書き方です。
これは要望であり、法律改正や大綱での採択を意味しません。年末前後の与党税制改正大綱やその後の国会・通達の確認が正です。「上がった前提」で保障額や契約を動かさない方が安全です。
数字のイメージ(仮の計算)
配偶者と未成年の子2人(法定相続人3人)のとき:
- 現行: 500万円×3=1,500万円
- 要望どおりに加算された場合のイメージ: 現行1,500万円+配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人2人×500万円=3,000万円
「3,000万円になる」は要望文の加算イメージであり、確定制度ではありません。未成年・被扶養の定義や按分の実務は、改正案が出てから確認する話です。
混同しやすいもの:非課税枠 ≠ 基礎控除
死亡保険金の非課税限度額と、相続税の基礎控除(一般に「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と説明される枠)は別物です。基礎控除は遺産全体の計算の入口、保険の非課税は「相続人が受け取る死亡保険金」側の軽減です。両方を足して「この家は非課税」と決め打ちしないでください。
受取人を誰にするか
非課税枠を使いたいなら、受取人が相続人であることが前提になります。内縁の相手や相続人でない孫などを受取人にすると、枠が使えない可能性があります。誰が相続人かは家族構成で変わるので、契約画面の名義だけで安心しない方がよいです。
保障額は「節税枠」から決めない
枠が広がるかもしれない、というニュースだけで死亡保障を厚くする必要はありません。先に見るのは、遺族の生活費・教育費・住宅ローン・遺族年金などで足りない額です。必要保障の逆算のあとに、現金化の速さや受取人指定といった保険の役割を置く、という順番の方が破綻しにくいです。
資産形成はNISAやiDeCo、万一の即時資金は死亡保障、と役割を分けて考えると、変額や貯蓄性保険に「全部載せ」しにくくなります。商品横断の整理は変額保険の横断比較や変額保険とNISAの違い、控除の枠は生命保険料控除が6万円になる人・ならない人、金利局面での見直しは金利上昇で生保の解約返戻金が増えている話も参照してください。
いま親・世帯主がやること
- 契約者と被保険者・受取人の組み合わせを証券で確認する(非課税の話は「相続人が受け取る死亡保険金」が中心)。
- 法定相続人の人数と、未成年の子がいるかを家族で共有する。
- 必要保障額を、枠のニュースではなくキャッシュフローから試算する。
- 要望の行先は、金融庁要望・生命保険協会要望・その後の大綱を一次ソースで追う。
個別の税額や契約の可否は、この記事では断定しません。申告前は税理士・税務署、契約内容は保険会社の担当と重要事項説明書が正です。
家計全体の保障と投資の役割分担を短く整理したい人だけ、かながわFP相談所など。画面の手続きだけで足りる人は、証券と公式案内の確認で十分です。
参考: 国税庁 No.4114/財務省掲載・金融庁 令和9年度税制改正要望/生命保険協会「令和9年度税制改正に関する要望」

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