日本証券業協会は2026年9月30日、「2024年以降のNISAに関するQ&A」を改定し、18歳未満のNISA口座(こどもNISA)について Q80〜Q92 を追加しました。その中で、18歳未満の場合はNISA口座を使う金融機関を途中で変更できない(Q87)と明記されています。他社に移りたいときは口座を廃止して開き直すことになり、時期によっては過去の非課税分まで課税されます。
10月1日から各社でこどもNISAの申込受付が進んでいます(受付の流れはこどもNISA、10月1日から各社受付の記事)。申し込む前に、Q&Aに書かれたルールと、口座を選ぶときの確認手順を整理します。
決まったこと(日証協Q&Aの記載)
Q&Aの該当章は「18歳未満のNISA口座特有の留意事項について(2027年1月以降)」という見出しです。主な記載を表にまとめます。
| 論点 | Q&Aの記載(要約) | 該当 |
|---|---|---|
| 金融機関の変更 | できない。18歳未満のNISA口座は一人1口座のみのため | Q87 |
| 別の金融機関での再開設 | できる。今の口座を廃止すれば他の金融機関で再開設可能 | Q88 |
| 払出し制限の解除前に廃止した場合 | 災害等やむを得ない事由を除き、過去に要件を満たして非課税で払い出された配当金・売買益等も遡って課税 | Q87・Q88・Q85 |
| 再開設できる時期 | 廃止した口座でその年に買付けをしていれば、その年中は再開設できない。買付けをしていなければ、9月30日までに手続を完了すればその年中に再開設できる | Q88 |
| 払出し制限の解除 | 3月31日時点で18歳である年の1月1日以降(一般的に高校3年生の年の1月以降) | Q83(注1) |
| 12歳以降の例外払出し | 3月31日時点で12歳である年の1月1日以降(小学6年生の1月以降)は、本人の教育費または生活費の支払に充てる場合に限り、所定の手続で課税なしに払出し可能 | Q83・Q84 |
| それ以外の払出し | 口座開設日以後に非課税で受領した全ての分配金・売買益等に課税され、口座は廃止(災害等やむを得ない事由を除く) | Q83 |
| 分配金・売却代金の置き場 | 「特定課税未成年者口座」にプールされ、年間投資枠の範囲で再投資は可能。払出しは制限あり。この口座で発生した利息等は非課税にならない | Q83(注2) |
「変更できない」と「開き直せる」の違い
18歳以上のNISAとは異なり、18歳未満では、この「変更」の手続そのものがありません。他社に移るには、今の口座を廃止してから他社で再開設する流れになります(Q88)。
問題は廃止のタイミングです。払出し制限が解除される年(3月31日時点で18歳である年の1月1日)より前に廃止すると、災害等の場合を除いて、過去に要件を満たして非課税で払い出した配当金・売買益等も遡って所得税等の対象になります。Q85では、12歳以降の例外払出しで残高が0円になった口座でも、解除前に廃止すれば同じく課税されると書かれています。Q&Aは「NISA 口座を開設される金融機関の選択にはご留意ください」と結んでいます(Q87)。
12歳以降の払出し手続(Q84)
教育費・生活費に充てる例外払出しは、口座を開いている証券会社などで次の書類を出す形です。
- NISA口座で持つETF・投資信託を払い出す場合 … 「特定累積投資上場株式等移管等依頼書」
- 特定課税未成年者口座の金銭を払い出す場合 … 「特定課税未成年者口座払出し依頼書」
- 手続をするのは法定代理人。証券会社は払出しのたびに、子ども本人の同意、資金の使途、本人のために使われることを確認する
- 払い出したお金は子ども本人名義の口座へ振替または振込み
ほかにQ&Aで決まったこと
| 論点 | Q&Aの記載(要約) | 該当 |
|---|---|---|
| 運用管理する「親権者等」の範囲 | 本人の法定代理人、または法定代理人から書面で明確な委任を受けた本人の二親等以内の者に限定。関係を証する書類(戸籍謄本等)の提示を求められることがある | Q80 |
| 第三者(祖父母など)の資金 | 運用資金は本人に帰属するもの(贈与済み)に限定。入金は本人の銀行口座からの振込み、本人名義の他の証券口座からの振込み、本人または法定代理人による現金入金に限る。開設時に「本人に帰属する資金以外で投資しない」ことを証する書類等の提出を求められる | Q81 |
| 毎月の積立 | 親名義の銀行口座から子ども本人名義の銀行口座・証券口座へ資金を移し、そこから買付ける | Q86 |
| ジュニアNISA口座がある場合 | 新しくNISA口座を開設できる(自動開設はされないため手続が必要)。ジュニアNISAと別の金融機関も選べる。ジュニアNISAの簿価は600万円の非課税保有限度額に含まれない。ジュニアNISAの商品を新しいNISA口座へ移管はできない | Q82 |
| ジュニアNISAの自動開設の例外 | ジュニアNISA口座があり、生年月日が2008年1月3日〜2009年1月2日の人は、2027年1月1日時点でジュニアNISAの証券会社などにNISA口座が自動開設される | Q82(注) |
| 親の海外転勤 | 扶養する親族の転任命令等で出国する場合、出国日の前日までに「(非課税口座)継続適用届出書」を出せば出国後も非課税が続く。出国中は新規買付け不可。帰国後に「(非課税口座)帰国届出書」を出せば再開。帰国届出書は継続適用届出書の提出から5年を経過する日の属する年の12月31日まで。期限を過ぎると口座は廃止され一般口座へ移管(この場合、遡及課税は行われない)。届出書を扱わない証券会社もある | Q89 |
| 18歳になったとき | その年1月1日に18歳の年から、自動的に18歳以上のNISA口座へ移行。手続は不要。年間投資枠は成長投資枠240万円・つみたて投資枠120万円の計360万円、非課税保有限度額は600万円から1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)へ。18歳未満の間に買った商品はそのまま保有でき、買付代金は非課税保有額に含まれる | Q90 |
| 成人後の運用指図 | 原則として本人が運用指図。証券会社は成人後の初回取引までに本人の適合性を確認 | Q91 |
| 早生まれ(1月3日〜4月1日生まれ) | 払出し制限の解除(3月31日時点で18歳の年の1月1日)が先で、18歳以上の口座への移行(1月1日時点で18歳の年の1月1日)はその1年後。解除後も18歳の誕生日までは法定代理人が払出し手続をする。例:2011年2月生まれは解除が2029年1月1日、移行が2030年1月1日 | Q92 |
まだ決まっていないこと・各社で確認すること
- 各社の具体的な書類と受付方法 … Q84の払出し書類やQ81の確認書類の様式・提出方法は、Q&Aでは「証券会社などにお問い合わせください」とされています
- 海外転勤時の届出の取扱い … 継続適用届出書を扱わない証券会社もある(Q89注1)ため、申込前に各社で確認が必要です
- 取扱商品 … どの投資信託をこどもNISAで買えるかは各社の公表待ちのものがあります。信託報酬ゼロ投信などの動きはこどもNISAの信託報酬ゼロ投信と未成年口座対応の記事で整理しています
申し込む前に口座を選ぶ確認手順
途中で移れない前提で、申込画面に進む前に次の順で確かめます。
- 子どもの払出し制限が解除される年を書き出す … 「3月31日時点で18歳になる年」の1月1日。早生まれは18歳以上の口座への移行が1年後になる(Q92)
- その年まで同じ会社で続けられるかを考える … 解除前に廃止すると過去の非課税分も課税されるため、途中で乗り換える前提にしない
- 買いたい商品を扱っているかを各社の公式で確認する … 対象商品が「予定」の段階か、確定しているかを分けて見る
- お金の流れを決める … 親の口座→子ども名義の銀行口座→子ども名義の証券口座という入金経路を用意できるか(Q81・Q86)。祖父母が出す場合も、いったん子どもへの贈与として子ども名義口座に入れる
- 運用管理者を決める … 親以外が管理する場合は、法定代理人からの書面委任と二親等以内の関係が必要(Q80)
- 12歳以降の払出しの手続と、海外転勤時の届出を扱っているかを問い合わせる … Q84の依頼書、Q89の継続適用届出書の取扱い
- ジュニアNISA口座がある場合は別に手続する … 自動では開設されない(2008年1月3日〜2009年1月2日生まれを除く)。ジュニアNISAの商品は移せない(Q82)
- すでに申し込んだ会社を変えたい場合 … 開設前なら申込の取消しができるかを、申し込んだ会社に確認する。開設後で年内に買付けをしていなければ、9月30日までの手続でその年中に再開設できる(Q88)
制度全体の準備の順番はこどもNISAの準備記事にまとめています。
まとめ
- 18歳未満のNISA口座は金融機関を変更できない。移るには廃止→再開設(Q87・Q88)
- 払出し制限の解除(3月31日時点で18歳の年の1月1日)より前に廃止すると、災害等を除き過去の非課税分も遡って課税
- 小学6年生の1月以降は、教育費・生活費に限り所定の手続で非課税の払出しが可能。それ以外の払出しは課税+口座廃止
- 特定課税未成年者口座の利息は非課税にならない
- 各社の書類・取扱商品・届出の取扱いは、申込前に公式で確認する
出典
- 日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」(2026年9月30日改定)(2026年10月20日確認)
注意・免責
この記事は2026年10月20日時点の公表資料をもとにした一般的な情報の整理です。特定の商品や金融機関をすすめるものではありません。税務の取扱いや各社の手続は変わることがあるため、申し込みの前に各金融機関の公式情報を確認してください。NISAの制度については、NISA相談コールセンター(0570-023-104、平日9:00〜17:00)でも問い合わせできます。


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