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「個人向け国債がNISAで買えるようになる」「相続税も非課税になるらしい」。2026年夏以降、こういう見出しが増えました。先に結論です。いま決まっている制度変更ではありません。金融庁と財務省の共同で「国債に関する税制の検討」が令和9(2027)年度の事項要望に入り、国民民主党は7月にいわゆる国債NISA法案を参議院へ提出しています。片山財務相も自民党内の議論に言及した、という報道もあります。どれも年末の税制改正大綱待ちのウォッチ対象です。相続税がゼロになったわけでも、今日からNISAで国債が買えるわけでもありません。
いま何が動いているか(決定ではない)
金融庁が2026年8月31日に出した令和9年度税制改正要望では、財務省との共同で「国債に関する税制の検討」が事項要望のひとつに並んでいます。事項要望は「必要に応じて検討する」枠で、具体的な条文案が決まった改正項目ではありません。金融庁側の説明では、国債保有者層の多様化と、個人の資産形成ニーズへの対応、という二つの観点から、必要なら措置を検討する、という位置づけです。
一方、国民民主党は2026年7月10日、参議院に「少額投資非課税制度における国債に係る所得に対する所得税の非課税に関する措置等に関する法律案」(いわゆる国債NISA法案)を提出しました。野党提出の議員立法です。提出と成立は別です。
一次の入口です。
- 金融庁:令和9年度税制改正要望(PDF)
- 財務省:令和9年度税制改正要望(金融庁)一覧(国債の項目は事項要望側)
関連する別の要望として、同じ資料群にはNISAの「非課税保有限度額の当年中復活」もあります。枠復活の誤解整理は別記事へ。本記事は国債まわりだけに絞ります。
よくある誤解を先に分ける
- 決定・施行ではない。要望・法案・党内議論の段階です。年末の与党税制改正大綱に載って初めて「ほぼ決まり」に近づきます。
- 相続税ゼロが決まったわけではない。国債NISA法案で相続税に触れている部分は、政府に検討を求める「検討条項」という整理が一般的です。法案が通っても、すぐ相続税法が書き換わるとは限りません。
- 対象は「NISA口座内」の検討が多い。無制限に現金を国債へ移せば相続税が消える、という話ではありません。仮にNISA対象化が進んでも、生涯の非課税保有限度額(簿価ベース最大1,800万円)の内側、という読み方が現実的です。設計は未定です。
- いまの個人向け国債は、通常どおり相続税の評価対象です。評価の計算は国税庁の取扱い(額面+経過利子相当−中途換金調整額)です。現行で「額面が大きく下がる節税商品」ではありません。
いまのNISAでは国債をどう扱うか
現行のNISAで買えるのは、一定の上場株式・投資信託などです。個人向け国債そのものは、NISAの対象ではありません。債券を組み入れた投資信託は別物です。「国債がNISA解禁」と「債券投信をNISAで買う」を混ぜないでください。
個人向け国債を今買うなら、通常の証券口座や銀行の窓口・ネットです。金利や中途換金のルールは財務省・取扱機関の公式が正です。税制の見出しだけで、今日の買付を急ぐ必要はありません。
誰がウォッチすべきか/誰は急がなくてよいか
ウォッチ向きです。
- すでにNISAの枠をどう使うか決めていて、安全資産の置き場を気にしている人
- 相続を意識し始めた人(ただし、先に生命保険の非課税枠や小規模宅地など、いま使える制度の確認が優先)
急がなくてよいです。
- 決まっていない優遇を前提に、預金を国債へ一気に移そうとしている人
- 相続税の基礎控除の外にいる可能性が高い人(この改正案が届かないことが多い)
- まだ親本人のNISAや生活防衛資金が整っていない人
今日やることの順番は単純です。年末の大綱報道を見る。自分のNISAの残り枠をアプリで確認する。相続が気になるなら、未確定の国債案より先に、いまの評価と既存の非課税枠を税理士・税務署側で確認する。
改めて、NISAがなぜ人気なのか
国債の話に入る前に、いまのNISAがなぜ広がっているかを短く振り返ります。人気の核は「おすすめ銘柄」ではなく、運用益にかかる税金の扱いです。
- 運用益が非課税(枠内):通常の特定口座などでは、上場株式や公募投信の譲渡益・配当等に約20.315%の税金がかかります。NISA口座内なら、その枠のルールに沿った利益は非課税です。同じ値動きでも、手元に残る金額が変わりやすい。
- つみたてと成長の両方が使える:新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。制度そのものは証券会社で変わりません。差が出るのは画面・ポイント・取扱です。
- 非課税で持てる期間が無期限:古いNISAのような「○年で終わり」の焦りが薄い。長期で置く前提と相性がいい。
- 口座が原則1人1つ:開設が目的化すると痛い。だから「国債が解禁されるかも」で口座を増やす前に、いまの使い方を見た方が早い。
もうひとつ。人気の裏で起きやすい誤解があります。「NISA=必ず儲かる箱」ではありません。非課税は利益が出たときの税の話です。元本割れすれば、非課税の恩恵は起きません。国債NISAの議論も、「安全だからNISAに入れる」ではなく、「もし対象になったら税の箱がどう変わるか」のウォッチです。
NISAで利益が出やすくなるのは、10年・20年・30年の置き方
ここから先の数字は、将来の利益を約束するものではありません。過去の平均でもありません。複利と、課税の差が「時間でどう効くか」を見るための仮置きです。年率も商品も、あなたが買う投信とは別です。
仮に、毎月の積立を続け、年率を仮に5%(費用控除後のイメージ)と置いた場合の、元本と運用益の関係はだいたい次の感覚です。
- 10年:まだ元本の比重が大きい。相場の上下で「マイナスに見える年」が普通にあります。利益が出ても、絶対額は小さめ。ここで止めると、複利の効き始める前に終わりやすい。
- 20年:同じ積立でも、運用益の塊が見えやすくなる期間です。途中の暴落を乗り越えたあとに、残高が積み上がって見える、というパターンが語られやすい。ただし「20年あれば必ず」ではありません。
- 30年:さらに複利の差が開きやすい。一方で、ライフイベント(住宅・教育・介護)で取り崩す時期も近づく。出口の設計がないと、紙の上の長期が現実の現金需要に負けることがあります。
課税口座との差も、時間で効きます。仮に運用益が100万円出たとすると、特定口座などでは約20万円が税として出て、手元は約80万円、というイメージです(税率・所得の状況で細部は変わります)。NISAの枠内なら、その約20万円分が残る側に回りやすい。利益が小さいうちは差も小さい。利益が大きくなるほど、税の差も大きく見えやすい、というのが「長く置く理由」のひとつです。
利益が出やすくなる条件を、制度側に引き直すとこうなります。
- 生活防衛資金を別に置いてから、余剰で積立する
- 売買を増やしすぎない(税の箱を回転売買の道具にしない)
- 商品の中身と費用を、公式で確認してから買う
- 10年未満で使うお金を、成長資産に全部載せない
国債がNISA対象になるかどうかは未定です。仮に対象になっても、「元本近いものを短期間で売買して儲ける」話にはなりません。NISAの人気の本体は、長期の非課税枠です。見出しの国債案より先に、いまのつみたてを止めない方が、多くの人には効きます。
口座の土台は、改正待ちで止めない
国債がNISAに入るかどうかは未定でも、つみたてや成長枠で使う口座の土台は、いま整えられます。長期の投信を自分で買う人向けに、ひふみのNISA口座開設を置きます。商品の中身や手数料は公式で確認してください。国債専用の口座ではありません。
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NISAと総合口座を同じ証券で持ちたい人向けに、松井証券の総合口座も置きます。個人向け国債の取扱や、将来のNISA対象化の有無は、申込前に公式で確認してください。
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まとめ
「国債NISA」は、要望・法案・党内議論の段階です。決定でも施行でもありません。相続税非課税が決まったわけでもありません。検討案の多くはNISA口座内の話で、無制限の節税ではありません。いまの個人向け国債は、通常どおり相続税の評価対象です。NISAが人気な理由の本体は、枠内の運用益が非課税で、長く置けること。利益の絶対額は、10年より20年・30年の置き方で差が開きやすい、という整理です(将来を保証しません)。
見出しの勢いで資産を動かさないでください。年末の大綱を見てからで間に合います。口座の土台だけ先に整える人は、上のひふみや松井へ。
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参考:金融庁「令和9(2027)年度税制改正要望について」(2026年8月公表)、国民民主党提出の国債NISA関連法案(2026年7月)、報道各社の財務相発言。制度は未確定で、今後変わり得ます。2026年9月時点の整理です。個別の税務は税理士・税務署へ。


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