かつて一大ブームになった節税保険
まだ平成だった頃の2017年4月に日本生命からある保険が販売が開始されました。いわゆる「バレンタインショック」と生命保険業界で言われている2019年の2月14日に起こる節税保険への金融庁の大胆な改革の原因を作ったであろう保険の一つと言われるほどの猛威を振いました。しかもその保険が国内最大手の生保会社である日本生命が販売を最初に行った事により業界全体がニッセイがいいならいいんだ!と言わんばかりに同様の商品を開発、販売を行いました。その原因の元となった保険の名前はプラチナフェニックス(ニッセイ傷害保障重点期間設定型長期定期保険)という名の保険です。
実はこの前からも抜け道のようなものはあった
実際、この商品が出る前にも何度も節税保険と言われるものが発売されその度に規制とのイタチゴッっこが続いていたのですが国側もある程度までは許容していたところもありました。保険会社というものがある程度の政治介入などができるほどの力があるのかは分かりませんが日本国債の買い付け大手であるなど持ちつ持たれつの関係であったことは否めなかったでしょう。
タガが外れてしまった結果なのかもしれない
どう言った保険なのか
このプラチナフェニックスという保険は全額を経費計上可能という事で話題になりました。
ただ、全てを経費計上できる保険は他にも存在します。自動車保険もそうです。にもかかわらず何故この保険がうれたのか?他社も追随したのか?
保険機能をほぼ捨て去った節税の為だけの保険だった
実はこの保険は保険期間が第一期間と第二期間という二つの期間で保障内容が大きく異なります。
まず加入段階の第一期間では基本保険金額(死んだ時に出るお金と思って下さい。)が「傷害死亡保険に限定」されています。通常の死亡の場合は払込保険料相当額ですので払った分が返って来るだけ怪我死亡でない限り支払いは発生しません。これが第二期間に到達すると怪我死亡だけで無く通常の死亡でも設定金額が保障される様になり一般的な死亡保険になります。しかし、多くの人はこの「死亡保険がやっと付保されるタイミングで解約」をします。
なぜ解約をするのか。そこに疑問が生まれるかと思いますが実はこの保険は解約返戻金と言われる「保険を途中で解約した時に保険会社が契約者に返すお金」が存在します。これを得る為に企業側は解約します。
しかし実は返って来るお金は払込保険料>解約返戻金ですのでこのままだとただ損をしただけになります。しかし思い出して下さい。この保険は全ての保険料つまり払込保険料合計が全て経費計上されている為、節税効果を考慮するとプラスとなるのです。(今は使ってはいけない言葉ですが当時は実質解約返礼率という言葉が使用されていました。)その為、完全な節税の為だけの保険と捉えられてしまったのです。結果、見過ごす事ができなくなり金融庁が規制をかけこの保険ブームは終わりました。というのが当時の話です。しかし、本当に恐ろしいのはこれからなのです。
保険料=会費計上、では解約返戻金を受け取る時はどうなるのでしょう?実はこれ「益」となってしまうのです。つまり節税保険とは所詮、利益の繰越でしかないのですがこれを理解した上で当時入った経営者は何ら問題無いのですが大変なのは「節税策ですよ」とばら撒かれた出口戦略がないままの契約がそろそろ顔をニョキニョキ出し始めるのがもうそろそろなのですがこの「益」にぶつける物が無いと結局、税金を払う羽目になる上に何の為に毎年高い保険料を払い続けたのかが全くわからなくなります。
まずは見直しと理解ある人に相談を
もしそう言った保険が引き出しから出てきた場合はまずは解約返戻金のピークがいつなのかを確認して下さい。税理士さんが管理を毎年行い調整されているのであれば問題無いかも知れませんが税理士さんの中には保険分野が不得意な方もおられます。本来は緊急時の簿外預金や退職金、設備投資用に計算して入る保険なのですが残念な事に売った人間すら考えずに加入しているパターンも存在します。不安を与える様になってしまいましたが上手く使えばある意味ではお宝保険ですので一度、確認をしてみて下さい。
日本生命、法人向けの新商品「プラチナフェニックス」を発売
https://www.hokende.com/news/blog/entry/2017/03/19/170000
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