開業届はネットで提出すべきか?

開業届
目次

そもそも開業届は必要なのか?

まずはフリーランスになったからには開業届だ。と思っている人も多いかもしれませんがそもそも開業届っているの?と言うお話からしようと思います。結論から言うと別に絶対ではありません。出さなかったからと言って罰則があるとは国税庁のホームページにも記載はされていませんし、趣味で数万円を稼いだ人が開業届を出していると聞いたことはありますか?(あったらごめんなさい)ただ、これを出すことにより税制面など様々なメリットを享受出来る為、よほど稼ぎが無いか副業の軽い小遣い稼ぎでない限り、つまりフリーランスとして食べていくことを考えているのであれば提出するべきことです。

どうやったら開業したことになるのか

「開業届」を最寄りの税務署に出しましょう。・・・では話が終わってしまうのですが本当にそれだけなのです。国税庁のホームページにアクセスし開業届のPDFに書き込むだけ、記入する欄もそれほどたくさんある訳では無いのでそれほど悩むことも無いと思います。もし書き方に悩んだら「Googleで 開業届 書き方」これだけでぞろぞろと何故か親切なサイトが出て来ます。世の中、ありがたいことです。

国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

開業届の提出期限として国税庁のホームページには

事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

との記載がありますがその点は注意しましょう。但し、現実的問題として1月以内を把握できる訳では無いのでこの辺りはそこまで敏感になる必要は無いと思います。そんな暇も手間もかける時間が勿体ないですからね。

合わせて出したい書類

さて開業届は出しました。これであなたも晴れて個人事業主です。ただついでに面倒な確定申告の書類も出してしまいましょう。確定申告と聞くと3月に世間が大騒ぎをしているイメージですがこの場合の確定申告は「所得税の青色申告承認申請手続」をしよう。という意味になります。実は事業者向けの確定申告には白色確定申告青色確定申告が存在します。大きな違いは2つです。

申告方式白色確定申告青色確定申告
記載方法簡易(単式)簿記(簡単)複式簿記(少し面倒)
控除額基礎控除基礎控除+10・55・65万円

細かな違いは他にもあるのですが特に個人事業主として気になる点について焦点を当てて説明したいと思います。大体の方が何かしらの事情が無い限り青色確定申告を選択するかと思われますので白色確定申告ではなく青色確定申告を行なっていくと考えて進めていきます。

青色確定申告で控除の額が違うのは何故?

大体の方が注目するのはこの確定申告の「控除額」を主に考えて青色申告承諾申請手続を提出を行う訳ですがその控除額には10万円・55万円・65万円と3つに分かれています。何が違うのだろう?ということについて説明をしていきます。

10万円の青色申告特別控除
この控除は、上記「55万円の青色申告特別控除」および「65万円の青色申告特別控除」の要件に該当しない青色申告者が受けられます。

(注1)不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得の金額の合計額が10万円より少ない場合には、その金額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。

(注2)不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額から順次控除します。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm

上記の様に10万円に関しては単純に青色確定申告の中でも55万円・65万円以外の人と考えるのがいいかと思いますが通常手間を掛けてまでこの10万円控除になる方は少ないはずです。

次に55万円控除と65万円控除の差ですが実は元々は65万円控除のみだったのですが2020年度より55万円控除の条件を満たしかつ電子帳簿保存かe-Taxの利用が必須となりました。

55万円の青色申告特別控除
この55万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。

(1)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。

(2)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。

(3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること。

(注1)現金主義によることを選択している人は、55万円の青色申告特別控除を受けることはできません。

(注2)不動産所得の金額または事業所得の金額の合計額が55万円より少ない場合には、その合計額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。

(注3)不動産所得の金額、事業所得の金額から順次控除します。

(注4)還付申告書等を提出する方であっても、55万円または65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出する必要があります。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm

ただせっかく控除を受けるのであれば65万円を取るべきです。また現在、書類などの電子化が国主体で進められていますので紙の方が・・・という方も今から慣れておきましょう。

65万円の青色申告特別控除
この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。

(1) 上記「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当していること。

(2) 次のいずれかに該当していること。

イ その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存(下記<参考>参照)を行っていること(※注1)。

ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと(※注2)。

<参考>

納税者の事務負担やコストの軽減などを図るため、各税法で保存が義務付けられている帳簿書類については、一定の要件の下で、コンピュータ作成の帳簿書類を紙に出力することなく、ハードディスクなどに記録した電子データのままで保存できる制度があります。

なお、令和4年1月1日から、帳簿書類を電子データのままで保存する場合に必要な税務署長の事前承認が不要となります。

詳しくは、電子帳簿保存法関係をご覧ください。

(※注1)(2)イに該当している場合で、令和4年分以後の青色申告特別控除(65万円)の適用を受けるためには、その年分の事業における仕訳帳および総勘定元帳について優良な電子帳簿の要件を満たして電子データによる備付けおよび保存を行い、一定の事項を記載した届出書を提出する必要があります。

なお、既に電子帳簿保存の要件を満たして青色申告特別控除(65万円)の適用を受けていた方が、令和4年分以後も引き続き当該要件を満たしている場合には、一定の事項を記載した届出書を提出する必要はありません。

(※注2)確定申告書、貸借対照表および損益計算書をイメージデータで送信することはできません。
詳しくは、e-Tax ホームページの「イメージデータで送信可能な手続について」をご覧ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm

さぁ届出を出そう!

やっとここまで来て本題に戻ります。この所得税の青色申告承認申請手続ですが最近ではクラウド系会計ソフトが開業届と合わせてネットから提出することが出来るのですが実はこれ「罠」(こう書くと失礼かもですが笑)でしてその会計ソフトを販売ツールで確定申告から何から何まで紐づけられそのサービスを他に移行が面倒になる様に囲い込まれてしまいます。それが悪いとは私は思っていません。実際にそれが合っている方もいるでしょうしネットから24時間いつでも行えるので便利と思ったら使っていきましょう。ただ私が危惧しているのが「もしそのソフトが自分に合わなかったとき」を考えて届出は国税庁のサイトよりダウンロードし最寄りの税務署へ持参か提出をする方がいいかもしれません。またそれを書くことにより手続きの流れを覚えるということになります。(そこを簡略化するのがソフトのいい点ですが人間この辺りぐらいは頭と足を使いましょう)用紙自体は下記の国税庁ホームページからダウンロード可能です。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

1つ注意すべき点は提出時期です。といっても開業届と同じくそこまで深刻になることではないです。国税庁のホームページからもその点は見て取れます。

[提出時期]
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までその年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出してください。

なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

紙切れ1枚で簡単に申告は出来てしまいます。特に詰まるところは無いかも知れませんが持参した時に職員に聞けばいいのです。これから開業し毎年確定申告が必要になることを考えると自分自身で書いて間違えて提出する方が身に付くと思いますのでどうしてもネットでなければ・・・や既にそのツールを全て使用すること前提なので無い限りは通常通りの手段をお勧めします。

結局ネットの提出はいいの?ダメなの?

お疲れ様です。これで晴れてあなたも個人事業主かつ青色申告の対象者となりました頑張って商売を発展させていきましょう。さてタイトルの通り結局、どちらがいいのか?という回答ですがこれまた卑怯な回答ですが「どちらでもいい」です。ただ今後、あなたは会社員時代は分業していた仕事を1人でこなさなければいけません。そう考えた時に「仕組み」を知っておくことで遠回りですが理解が深まります。また、実はクラウド系ソフトは入口は簡単なのですがその中身は意外とややこしく税理士いらずで楽チン!と思っていたら泣きつく羽目になるというケースを稀に聞きます。しかし税理士は普段から自分が管理している顧客の申告で大忙し、いきなり飛び込みでグチャグチの書類を持ち込まれたところでメリットはゼロです。そうなると引き受けてくれるのはよほど営業が苦手な税理士か新米税理士などになりますがこれが吉と出れば良いのですが税理士も人です。間違えることもあります。しかも今回は普通の税理士が嫌うケースです。凶を引いてもそれは自分の責任となります。会社と違い後ろ盾が無いのですから当然ですね。あなたが代表なのですから。そのことからネットで理解できてその会社のソフトで固めることを決めているのであればネットで提出するのが良いですが個人的には通常ルートで出した方がいいよ。と言うのが私の個人的見解です。

長くなりましたが開業届と所得税の青色申告承認申請手続の一連の流れの説明でした。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

元生損保取扱保険代理店勤務
保有資格
AFPファイナンシャルプランナー
国家資格キャリアコンサルタント

コメント

コメントする

目次